抗うつ薬の副作用には様々なものがあります。
特に多いのは、便秘や眠気、めまい、ふらつき、口渇など…。どれも個人差があり、副作用の程度も違います。
ゆき
副作用が強い場合は薬の変更もありますが、だいたいは医師と相談しながら経過観察…というケースが多いと思います。
しかし、ちょっとびっくりするような副作用が出ることもあります。
例えば、妊娠していないのにお乳が出て、生理が止まってしまうなんてことも。
今回は、プロラクチンというホルモンと、抗うつ薬の関係についてお話ししたいと思います。
生理不順・乳汁分泌が副作用?
実はこの症状、私のうつ友達が経験したこと。
彼女は無月経の状態が半年も続き、さすがに「病院行きなよ!」ということで、婦人科に行き、「プロラクチン値」が高いということが分かったのです。
プロラクチンとは?
プロラクチンとは、脳の下垂体というところから分泌される女性ホルモンの一種です。
妊娠や出産に大きく関係しているホルモンで、別名「乳汁分泌ホルモン」とも呼ばれます。
ゆき
例えば、乳腺を発達させ母乳が出やすくなるようにしたり、産後の体の回復を手伝ってくれたり、産後すぐに妊娠できないようにしたり、お母さんの負担を減らしてくれるような働きをしてくれます。
抗うつ薬でなぜプロラクチン値が高くなるのか?
なぜ抗うつ薬が、産後のお母さんのサポートをするようなホルモンの働きを高めてしまうのか、できるだけ分かりやすくご説明します!
プロラクチンとドーパミンの関係
まず、脳の下垂体前葉に存在するプロラクチンは、脳の視床下部に存在するドーパミン神経細胞から抑制的に調整されています。
しかし、一部の抗うつ薬の作用として、脳のセロトニンを刺激することで、ドーパミン神経細胞を抑制する働きを持つものがあります。
ドーパミン神経細胞が抑制されると、抑制的に調整されていたプロラクチンの分泌を促してしまうと考えられているのです。
ゆき
プロラクチンがムダに促進しないよう、いつもドーパミンが見守ってくれています。
しかし、ドーパミンを休ませる抗うつ薬を飲むことになりました。
そして、お薬がドーパミンの力を弱めました。
すると、いつも見守ってくれるドーパミンがいないので、プロラクチンはどんどん分泌を促進してしまいました。
ゆき
「ははは、ふ~ん」程度にお楽しみいただければと思っております‥‥!
どんな薬に多いの?
主に統合失調症の治療に使われる向精神病薬に多いとされています。
定型抗精神病薬と呼ばれる、第一世代の抗精神病薬(代表的なもので、セレネース・ケセラン・パロステン・リントンなど)など。
抗うつ薬としてはアモキサピン(商品名アモキサン)とスルピリド(商品名ドグマチール)、またSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)でも起こりやすいと言われています。
抗うつ薬についての詳しい説明はこちら
服用している薬を知ろう!ひょっとしたら世界一分かりやすい抗うつ薬の説明書(かも)
しかし、薬に関してはまだまだ分かっていないことが多いです。
ゆき
こんな症状が出たら必ず医師に相談を
「俺には関係ないことだぜ!」と思っている男性の皆さん、プロラクチンは男性にももちろん存在するホルモンです。
女性の場合
女性の場合は、まず乳汁分泌、無月経、生理不順、胸が張るなど…。
ゆき
男性の場合
男性の場合、女性化乳房といって女性のように胸が膨らんだり、性欲の減退などがみられるそうです。
ゆき
高プロラクチン血症
プロラクチンの数値が高くなりすぎると「高プロラクチン血症」という病態になり、女性だと不妊の原因になることがあります。
長期的に高プロラクチン血症の状態が続くと、男女ともに骨密度が低下し、将来的に骨粗しょう症の原因になってしまう場合もあるそうです。
不安な人は先生に聞いてみよう!
友人が高プロラクチン血症になった時、私も少し不安になり、主治医に聞いてみたことがあります。
私の場合、主治医から「基本的に女性には、プロラクチンに影響する抗うつ薬は出さないようにしてるよ~」と言われ、ホッとした経験があります。
ゆき
「おかしいな?」と思ったらすぐに先生に相談してください。薬の変更で済むことがほとんどですからね。
参考 プロラクチンとは?正常値は?数値が高いとどうなるの?こそだでハック 参考 【抗精神病薬】高プロラクチン血症の身体への影響【乳汁分泌、無月経】 初めての心療内科/メンタルクリニック/精神科|ららメンタルクリニック