うつ病を発症したばかりの頃、私は処方された薬をまるで風邪薬のような感覚で、ほいほいと飲んでいました。
別にそれでも良いとは思うのですが、もうちょっと早くから「自分が飲んでいる薬の知識」を持っていればよかったな…と思います。
ゆき
そこで今回は、とっても簡単に!そして分かりやすく!抗うつ薬についてご説明していきたいと思います!
「へぇ、ふ~ん」程度でお読みいただければ幸いです…!
抗うつ薬の種類
こちらの記事でもちょこっと登場しましたが…
抗うつ剤の副作用?食欲が止まらない!そんな時に有効な3つの方法抗うつ薬は以下の種類に分けられます。
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
- SARI
- SSRI
- SNRI
- NaSSA
これは、開発された順番と、作用の仕方で分けられています。
古い順に「三環系→四環系→SARI→SSRI→SNRI→NaSSA」です。
ゆき
三環系抗うつ薬
最も古いとされる抗うつ薬で、1950年代に登場しました。
ゆき
三環系抗うつ薬は、神経細胞受容体(シナプスなど)に作用し、セロトニンやノルアドレナリンの再取り込み(役割を終えた物質が回収されること)を阻害する働きをします。
とっても簡単にご説明すると、脳内でうまく取り込めないセロトニンやノルアドレナリンをしっかり取り込めるようにして、結果的に脳内のセロトニンやノルアドレナリンを増やそうとするお薬です。
飲み始めて作用するまで1~2週間(人によっては1ヶ月)はかかることや、副作用が出やすいとも言われます。しかし、抗うつ薬の中では最も強力な効果があって、限られた患者さんには今でも頼れるお薬なんですよ。
主に口渇・便秘・排尿困難・ふらつき・体重増加・性機能障害など。まれに不整脈が起こることもあります。
四環系抗うつ薬
三環系抗うつ薬の後に開発された抗うつ薬。
ゆき
そのため、セロトニンではなくノルアドレナリンを増加させる効果があります。
ノルアドレナリンは、意欲を出してくれる物質なので、「やる気がない・気力がない」という症状に効果的と言えますね。
また、痙攣を起こしやすいという弱点もあります。
しかし、四環系の代表的な副作用と言えば、何と言っても「眠気」です。
私はこの「眠気」という副作用を利用して、地獄のような不眠状態から抜け出し、やっと安心して眠れるようになりました。
ゆき
SARI
この次にご紹介するSSRIが登場するまではよく使われていた抗うつ薬。今はあまり主流ではないみたいです。
ゆき
つまり、脳内のセロトニンを増やすことでうつ状態を改善するというもの。
ゆき
他の抗うつ薬に多い食欲増進による体重増加よりも、食欲不振や吐き気が多いとされています。
SSRI
2000年ごろから日本でも発売されるようになったお薬で、今最も多く処方されているのではないでしょうか?
ゆき
「うつ病はセロトニンの欠乏によって引き起こされている」との考えから、シナプスでのセロトニンの再吸収と分解を阻害する働きをします。
結果として、脳内のセロトニン濃度が上がることを期待します。
この「うつ病はセロトニンの欠乏によって引き起こされている」との考え、実は厳密には分かっていません。
しかし、安全性が高く、比較的副作用も少ないことからうつ病で病院にかかると、一番に処方されるお薬だと言われています。
急に服薬を止めると、一時的にめまいや頭痛、幻聴などが表れることがあります。
また、18歳以下の方には、自殺念慮、自殺企図、凶暴化の増加が報告されています。
「抗うつ薬なのに不眠なんて副作用が出るの!?」と驚いた方も多いかもしれません。
実は副作用として「不眠」が出るのはセロトニンが大きく関係しているんです。
SSRIは、セロトニンだけを増やすように作用するお薬ですので、セロトニンが過剰に作用した結果、睡眠が浅くなることが分かっています。
こちらの記事でも書きましたが、セロトニンは腸とも深く関わっています。吐き気や下痢が多いのもセロトニンが関係しているといえるのです。
【前編】「腸」大切!うつ病と腸の意外な関係!腸のご機嫌で心のご機嫌も決まるゆき
SNRI
SSRIの次に多く使われている抗うつ薬と言えます。
ゆき
SSRIのセロトニンのみ増加させる作用にプラスして、ノルアドレナリンも増加させる効果があります。
SSRIは、症状として落ち込みや不安が強い方に向いていますが、SNRIは落ち込みや不安に加えて、やる気や気力の低下にも効果が期待できるというわけです。
急に服薬を止めると、一時的にめまいや頭痛、幻聴などが表れることがあるのも同じです。
こちらも一応、「18歳未満の大うつ性障害患者に投与する場合には、適応を慎重に検討すること」との警告文が書かれています。
NaSSA
2009年から日本で発売が開始された新薬になります。
正式名称は「ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬」で、「ナッサ」と読みます。
ゆき
セロトニンなどを分泌させる神経には、分泌量を調節する自己受容体というものがあります。この自己受容体がセロトニンなどの分泌をストップさせないようにするお薬になります。
こちらのNaSSA、今一番のニューフェイスですが、実は四環系抗うつ薬を改良したものになります。四環系の良いとこ取りをして、副作用をグッと抑えたお薬なんです。
さすが四環系の改良薬です。やっぱり眠気が強いです。
ゆき
主な薬の一覧
具体的な抗うつ薬の名前を表にしました。
ゆき
三環系
一般名 | 商品名 |
イミプラミン | イミドール・トフラニール |
アミトリプチリン | トリプタノール |
トリミプラミン | スルモンチール |
ドスレピン | プロチアデン |
ノルトリプチリン | ノリトレン |
クロミプラミン | アナフラニール |
アモキサピン | アモキサン |
ロフェプラミン | アンプリット |
四環系
一般名 | 商品名 |
マプロチリン | ルジオミール |
ルジオミール | テトラミド |
セチプチリン | テシプール |
SARI
一般名 | 商品名 |
トラゾドン | デジレル・レスリン |
SSRI
一般名 | 商品名 |
フルボキサミン | デプロメール・ルボックス |
パロキセチン | パキシル |
セルトラリン | ジェイゾロフト |
エスシタロプラム | レクサプロ |
SNRI
一般名 | 商品名 |
ミルナシプラン | トレドミン |
デュロキセチン | サインバルタ |
ベンラファキシン | イフェクサー |
NaSSA
一般名 | 商品名 |
ミルタザピン | リフレックス・レメロン |
自分で調べることが大切
薬の効果や作用の仕方ばかりを考えすぎて、頭でっかちになってしまうのは良くありません。
しかし、自分が飲んでいるお薬のことだけでいいので、最低限理解しておくと生活しやすいと思います。
ゆき
怖がらないことも大切
この記事内で何度か刺激的なワードが飛び出しましたが、薬の副作用は怖く書かれていることが多いので、心配しすぎないでくださいね。
ゆき
私も一度、痙攣を起こしたことがありますが、主治医に「たまに痙攣起こしたりするけど、大丈夫だから~」と言われていたので、救急車は呼ばずに済みました。家族には死ぬほど心配かけましたが…。(もちろん翌日主治医の所に行きましたよ!)
知識として少し知っているだけで、何かあった時の心の安心感が違うというのはとても大切なことだと思います。
おわりに
私は、「このうつ病をどうにかしたい!」という気持ちで必死で勉強しました。この時に得た薬の知識は、自分自身の回復に大きく役立ったと思います。
ゆき
「私は今こんな薬を飲んでいるんだな」ということを知るだけでも、回復への大きな一歩になると思います。
そして一番大切なことは、信用する主治医の元で安心して納得して、お薬を処方してもらうことだと思います。
「新しい薬だから早く治る」とか「古い薬だから安全だ」ということは一切関係ありません。
薬が合う合わないは、あなたの体が決めるものです。それを的確に主治医に伝え、主治医が今のあなたに最も必要な薬を処方するためにも、自分が飲んでいる薬の知識を増やしてみてください。
ゆき
「スーパーで手に取った食品の原材料やカロリーをチェックする」くらいの気軽な感覚で、あなたの口に入るお薬のことも、ちょっとは気にかけてあげて下さいね。