「普通の生活が送れなかったらダメ人間?」・療養中は特別な生き方ができるとき

うつ病になった私が、ただひたすらに熱望していたのは「普通の生活を送ること」

普通に朝起きて、普通に顔を洗い、普通に朝ご飯を食べる。
たまには近所を散歩して、お昼ご飯を作って食べて、本を読んだり映画を観る。
夕飯の買い出しに出かけて、おいしい晩ご飯を食べる。
普通にテレビを観て普通に笑って、普通にお風呂に入り、歯を磨いて普通にベッドに入って眠る。

ゆき

昔は普通にできていた、たったこれだけのことが太古の昔のことのようで、私はもう二度と普通の生活に戻れないんじゃなかろうか、と、そう思っていました。

私はダメ人間?

そんな「普通の生活」が送れない自分を、私は卑下し、自分のことを「ダメ人間」だと思っていました。それもとても長い間。

ゆき

でも、今になってそれが自分にとっても、周りの人にとっても、とても暴力的で、侮辱した気持ちだったんだと反省しています。

たくさんの病

ゆき

世の中にはたくさんの辛い病気があります。もちろん、うつ病もその一つです。

しかし、もっともっと重病で辛い病気も存在します。長く生きられない病もあるでしょう。

そんな病に苦しむ人たちも、みんな「普通の生活を送りたい」と思っています。

病気だけじゃない

ゆき

様々な事情で自分の思い通りの生活が送れない人だっているでしょう。

お金の問題、性格の問題、自分ではどうしようもできない大きな不幸。

そんな人たちも、一生懸命生きながら「普通の生活が送りたい」と願っているのではないでしょうか。

ゆき

あなたはそんな人に「ダメ人間」と言えますか?

「頑張っているんだね!すごいね!偉いね!」と言いたくなりますよね。

それは、そのまま、今のあなたに言えることなんです。

私もあなたも「立派に生きている」

うつ病だからって怠けているわけじゃありません。

ゆき

ベッドから抜け出せないのも、「布団が暖かくて気持ちが良くて出たくない」じゃなくて、「出たくても出られないから」なんですよね。

顔が洗えないのも歯が磨けないのも、「顔を洗いたくても歯を磨きたくても、できない」

ご飯をおいしく食べたくても「できない」からなんです。

でも自分を責めてしまう

でもどうしてか、うつ病になると「できない自分」を必要以上に責めてしまいます。

私も「こんなこともできないなんて、私はダメ人間だ」と思っていました。

自分を責め、そしてどんどん失われていく自信。

ゆき

周りの人は凄い。でも私はなんてダメなんだ…。

それはあなたのせいじゃない

「自己卑下」立派なうつ病の症状です。

あなたの心からの本当の気持ちじゃないんです。

裏を返せば、「できない」「できるようになりたい」と頑張っている証拠の言葉なんです。

「私はダメ人間だ…」も、「私はダメ人間にはなりたくない!」という気持ちだったのかもしれません。

ゆき

今は普通と違う生き方をする時

「普通に生きたい」と熱望していた時、病院の先生にこう言われました。

「先生は普通じゃないことは良いことだと思うけどなぁ。普通とは違う人生とか、なかなか送れないでしょ?今は人とは違う人生を送る時なんだって思ったら?治ったら嫌っていうほど、普通の生活送らなきゃならないんだからさ。」

ゆき

凝り固まった考えがゆるゆると解けていくような気がしました。

私の先生はとてもフランクでユーモアのある先生だったので、「普通じゃない人生」がとても面白そうに思えました。

そして私の考えは「普通の人生が送れないなら、人とは違う人生を送ってやる!」に変わりました。

ゆき

そうは言っても、内心、やっぱり普通の生活に憧れたりしていましたけどね。

そして今、私は嫌ってほど、フツーの生活を送っています。フツーの。

でも、感謝しています。普通にご飯がおいしいことにも、普通に笑って話せることにも、信じられないくらいありがたいことなんだと実感しています。

普通の生活を送れなかったからこそ、感じることができる感覚だと思うし、辛いうつ病に耐えたご褒美のようなものだと思っています。

ゆき

普通の生活が送りたいあなた、今は人と違う特別な人生を送っていると、誇りに思ってください。
そして嫌ってほど「フツーの生活」に感謝できる日が必ずやって来ますよ。
いつか必ずやって来るその日まで、今は「いつもと違った生活」「少し違った人生」をのんびりと生きてみて下さい。